脳の後遺障害
交通事故で受傷後、脳に後遺症が残ってしまうことがあります。そのような場合、後遺障害の認定を受けることができれば、受け取ることのできる賠償金額が大幅に増加する可能性があります。
後遺障害の種類は多岐にわたりますが、脳の後遺障害は以下のとおりです。
なお、神経系統の機能又は精神の後遺障害全般については、神経系統の機能又は精神の後遺障害もご覧ください。
器質性の障害
高次脳機能障害
介護を要する後遺障害 第1級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
自賠責保険の補足的な考え方では、「身体機能は残存しているが高度の認知障害があるために、生活維持に必要な身の周り動作に全面的介護を要するもの」をいいます。
(第1級の後遺障害(介護を要する後遺障害)に関しては、第1級の後遺障害(介護を要する後遺障害)もご参照ください。)
介護を要する後遺障害 第2級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
自賠責保険の補足的な考え方では、「著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの」をいいます。
(第2級の後遺障害(介護を要する後遺障害)に関しては、第2級の後遺障害(介護を要する後遺障害)もご参照ください。)
第3級3号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
自賠責保険の補足的な考え方では、「自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの」をいいます。
(第3級の後遺障害に関しては、第3級の後遺障害もご参照ください。)
第5級2号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
自賠責保険の補足的な考え方では、「単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの」をいいます。
(第5級の後遺障害に関しては、第5級の後遺障害もご参照ください。)
第7級4号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の党務に服することができないもの
自賠責保険の補足的な考え方では、「一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの」をいいます。
(第7級の後遺障害に関しては、第7級の後遺障害もご参照ください。)
第9級10号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
自賠責保険の補足的な考え方では、「一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの」をいいます。
(第9級の後遺障害に関しては、第9級の後遺障害もご参照ください。)
身体性機能障害
介護を要する後遺障害 第1級1号
身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
以下のものが該当します。
1 高度の四肢麻痺が認められるもの
2 中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
3 高度の片麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
四肢麻痺とは、両側の四肢の麻痺をいいます。
片麻痺とは、一側上下肢の麻痺をいいます。
麻痺が高度とは、障害のある上肢または下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作(下肢においては歩行や立位、上肢においては物を持ち上げて移動させること)ができないものをいい、具体的には以下のものをいいます。
1 完全強直又はこれに近い状態にあるもの
2 上肢においては、三大関節及び5つの手指のいずれの関節も自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの
3 下肢においては、三大関節のいずれも自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの
4 上肢においては、随意運動の顕著な障害により、障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの
5 下肢においては、随意運動の顕著な障害により一下肢の支持性及び随意的な運動性をほとんど失ったもの
麻痺が中等度とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作にかなりの制限があるものをいい、たとえば、以下のようなものがあります。
1 上肢においては、障害を残した一上肢では仕事に必要な軽量の物(概ね500g)を持ち上げることができないもの又は障害を残した一上肢では文字を書くことができないもの
2 下肢おいては、障害を残した一下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには歩行が困難であること
(第1級の後遺障害(介護を要する後遺障害)に関しては、第1級の後遺障害(介護を要する後遺障害)もご参照ください。)
介護を要する後遺障害 第2級1号
身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの
以下のものが該当します。
1 高度の片麻痺が認められるもの
2 中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を必要とするもの
(第2級の後遺障害(介護を要する後遺障害)に関しては、第2級の後遺障害(介護を要する後遺障害)もご参照ください。)
第3級3号
生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、身体性機能障害のため、労務に服することができないもの
中等度の四肢麻痺が認められるものが該当します。
(第3級の後遺障害に関しては、第3級の後遺障害もご参照ください。)
第5級2号
身体性機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの
以下のものが該当します。
1 軽度の四肢麻痺が認められるもの
2 中等度の片麻痺が認められるもの
3 高度の単麻痺が認められるもの
単麻痺とは、上肢又は下肢の一肢のみの麻痺をいいます。
麻痺が軽度とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度損なわれているものをいい、たとえば、以下のようなものがあります。
1 上肢においては、障害を残した一上肢では文字を書くことに困難を伴うもの
2 下肢においては、日常生活は概ね独歩であるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく、速度も遅いもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの
(第5級の後遺障害に関しては、第5級の後遺障害もご参照ください。)
第7級4号
身体性機能障害のため、軽易な労務以外には服することができないもの
以下のものが該当します。
1 軽度の片麻痺が認められるもの
2 中等度の単麻痺が認められるもの
(第7級の後遺障害に関しては、第7級の後遺障害もご参照ください。)
第9級10号
通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
軽度の単麻痺が認められるものが該当します。
(第9級の後遺障害に関しては、第9級の後遺障害もご参照ください。)
第12級13号
通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、多少の障害を残すもの
以下のものが該当します。
1 運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの
2 運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの
(第12級の後遺障害に関しては、第12級の後遺障害もご参照ください。)
非器質性の障害
非器質性精神障害の後遺障害が存しているというためには、①抑うつ状態、②不安の状態、③意欲低下の状態、④慢性化した幻覚・妄想性の状態、、⑤記憶又は知的能力の障害、⑥その他の障害(衝動性の障害、不定愁訴など)のうち1つ以上の精神症状を残し、かつ、①身辺日常生活、②仕事・生活に積極性・関心を持つこと、③通勤・勤務時間の遵守、④普通に作業を持続すること、⑤他人との意思伝達、⑥対人関係・協調性、⑦身辺の安全保持、危機の回避、⑧困難・失敗への対応(以下「判断項目」といいます。)のうち1つ以上の能力について障害が認められることを要します。
第9級10号
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの
以下のものが該当します。
1 就労している者又は就労の意欲のある者の場合には、判断項目のうち②~⑧のいずれか1つの能力が失われているもの又は判断項目の4つ以上についてしばしば助言・援助が必要と判断される障害を残しているもの
2 就労意欲の低下又は欠落により就労していない者の場合には、身辺日常生活について時に助言・援助を必要とする程度の障害が残存しているもの
(第9級の後遺障害に関しては、第9級の後遺障害もご参照ください。)
第12級13号
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの
以下のものが該当します。
1 就労している者又は就労の意欲のある者の場合には、判断項目の4つ以上について時に助言・援助が必要と判断される障害を残しているもの
2 就労意欲の低下又は欠落により就労していない者の場合には、身辺日常生活を適切又は概ねできるもの
(第12級の後遺障害に関しては、第12級の後遺障害もご参照ください。)
第14級9号
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、軽微な障害を残すもの
判断項目の1つ以上について時に助言・援助が必要と判断される障害を残しているものが該当します。
(第14級の後遺障害に関しては、第14級の後遺障害もご参照ください。)
交通事故に遭い、脳に後遺症が残ってしまった場合でも、後遺障害の認定を受けることができれば、適切な損害賠償を受けることが可能になります。
交通事故後、後遺症が残ってしまった場合は、当事務所にご相談ください。当事務所では、初回相談は無料となっておりますので、安心してご相談いただけます。
なお、交通事故全般については、仙台の弁護士による交通事故のご相談もご覧ください。