解雇を制限する法律
使用者は、労働者を自由に解雇できるわけではありません。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効となります(解雇権濫用法理、労働契約法16条)。
また、期間の定めのある労働契約については、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間、解雇することはできません(労働契約法17条)。
どのような場合に解雇が無効になるかは、具体的事案ごとに判断されることになります。
また、その他、解雇を制限する以下の法律があります。
(1) 業務上の傷病による休業期間及びその後の30日間は原則として解雇することはできません(労働基準法19条1項)。
(2) 女性の産前産後休業(労働基準法65条)期間及びその後の30日間は原則として解雇することはできません(労働基準法19条1項)。
(3) 労働基準法違反や労働安全衛生法違反の申告を監督機関にしたことを理由として解雇することはできません(労働基準法104条2項、労働安全衛生法97条2項)。
(4) 有給休暇を取得したことを理由として解雇することはできません(労働基準法136条)。
(5) 性別を理由として解雇することはできません(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律6条4号)。
(6) 女性労働者が婚姻したことを理由として解雇することはできません(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律9条2項)。
(7) 女性労働者の妊娠、出産、産前産後休業等を理由として解雇することはできません(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律9条3項)。
なお、妊娠中及び出産後1年を経過しない女性労働者に対する解雇は原則として無効とされています(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律9条4項)。
(8) 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)に関する紛争について、短時間労働者(パート労働者)が都道府県労働局長に対して紛争解決の援助を求めたこと、調停を申請したことを理由として解雇することはできません(パートタイム労働法24条2項、25条2項)。
(9) 労働者が育児・介護休業の申出したこと、育児・介護休業をしたことを理由として解雇することはできません(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律10条、16条)。
(10) 公益通報をしたことを理由として解雇することはできません(公益通報者保護法3条)。
(11) 都道府県労働局長に対して個別労働関係紛争解決の援助を求めたこと、あっせんを申請したことを理由として解雇することはできません(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律4条3項、5条2項)。
(12) 労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、もしくは労働組合を結成しようとしたこと、もしくは労働組合の正当な行為をしたことを理由として解雇することはできません(労働組合法7条1号)。
(13) 労働者が被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの厚生労働大臣への確認の請求をしたことを理由として解雇することはできません(雇用保険法73条)。
上記のように、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効となります。また、解雇を制限する法律も多数存在しています。
ですので、解雇されてしまったとしても、あきらめずにご相談いただければと思います。
なお、不当解雇の問題については、仙台の弁護士による不当解雇・リストラのご相談もご覧ください。