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【労災・過労死・過労自死】【判例・裁判例】厚生年金保険法又は労働者災害補償保険法 に基づく保険給付の確定と受給権者の第三者に対する損害賠償債権額から将来の給付額を控除することの要否

 
Xは、自動車販売を営むA社の整備主任でしたが、A社で中古車を修理中、その中古車の購入を希望していたYが契約に必要な書類を持ってきたため、その中古車のサイドブレーキを引かず、鍵をさしたままその中古車を離れ、手を洗い始めました。Yは、その中古車のエンジンの調子を確かめようと、運転席に半分腰かけた格好でそのままエンジン始動スイッチを入れたため、その車が暴走し、Xに衝突してしまいました。これにより、Xは、左下腿複雑骨折の傷害を負いました。
Aは2年余りにわたり療養しましたが、後遺障害が残ったため、労災保険及び厚生年金保険の障害年金の給付を受けるようになりました。
XがYに対し、不法行為に基づく損害賠償を求める裁判を起こしたところ、厚生年金保険法又は労働者災害補償保険法(昭和四八年法律第八五号による改正前のもの)に基づく将来分の障害年金額を受給権者の第三者に対する損害賠償債権額から控除することを要するかが問題になりました。

これについて、裁判所は、厚生年金保険法又は労働者災害補償保険法に基づき政府が将来にわたり継続して保険金を給付することが確定していても、いまだ現実の給付がない以上、将来の給付額を受給権者の第三者に対する損害賠償債権額から控除することを要しない旨判断しました。

(最高裁判所昭和52年5月27日第三小法廷判決)

労災・過労死・過労自死に関して、 厚生年金保険法又は労働者災害補償保険法に基づく保険給付の確定と受給権者の第三者に対する損害賠償債権額から将来の給付額を控除することの要否についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、労災・過労死・過労自死については、仙台の弁護士による労災・過労死・過労自死のご相談もご覧ください。