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【労災・過労死・過労自死】【判例・裁判例】使用者の損害賠償債務の履行と労働者災害補償保険法に基づく保険給付請求権の代位取得

 
Xの従業員であったAは、昭和42年6月7日、業務中の事故により脳挫傷等の傷害を受け、Xに対して不法行為による損害賠償を請求しました。その裁判では、Aの逸失利益を算定するに当たり、Aが既に受給した労災保険法による休業補償給付、長期傷病給付及び厚生年金保険法による傷害年金(傷害厚生年金)は控除すべきであるが、将来受けるべき労災保険法による長期傷病補償給付(中間利息を控除した金額395万6114円)及び厚生年金保険法による傷害年金は控除すべきでないとして、未払の各保険給付金相当額をも逸失利益に加えて支払を命じました。
Xは、判決で命じられた損害賠償額を支払ったことから、Aが重ねて保険給付を受ける理由はなく、Aが有していた労災保険(昭和55年8月支給分までが長期傷病補償給付、その後は傷病補償年金)給付請求権のうちXが支払った将来分の労災保険給付額に相当する金額を取得したと解すべきであるとして、国に対して、前記395万6114円の支払いを求める裁判を起こしたところ、労働者の業務上の災害に関して損害賠償債務を履行した使用者は、賠償された損害に対応する労働者災害補償保険法に基づく保険給付請求権を代位取得するかが問題になりました。

これについて、裁判所は、労働者の業務上の災害に関して損害賠償債務を履行した使用者は、賠償された損害に対応する労働者災害補償保険法に基づく保険給付請求権を代位取得しない旨判断しました。

(最高裁判所平成元年4月27日第一小法廷判決)

労災・過労死・過労自死に関して、 使用者の損害賠償債務の履行と労働者災害補償保険法に基づく保険給付請求権の代位取得についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、労災・過労死・過労自死については、仙台の法律事務所による労災・過労死・過労自死のご相談もご覧ください。