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【労災・過労死・過労自死】【判例・裁判例】くも膜下出血と業務との間の相当因果関係が認められた事例

 
Aは、鉄道を専門とする電気工事業を営むB社に入社しました。Aは、工事に関する受注、監督、専属下請業者の調整・決定等に従事していましたが、Aが従事していた業務には昼間勤務と夜間勤務があり、昼間勤務では、主に現場説明会への出席、書類提出、打ち合わせ、事故対策、現場調査、防護、運搬、電柱撤去、入札、検査、あいさつ回り等の営業活動に従事し、夜間勤務では、主に午前1時ころから午前4時ころまでの検電接地工事において架線電流の切断再開連絡等に従事していました。
Aは、1日のうちに、本来の業務である昼間勤務の後、引き続き夜間勤務に従事することが頻繁にあり、しかもこの昼間勤務の後、休日をとらずに引き続き同様の昼間勤務に従事することも少なからずあり、連続して昼夜勤務に従事するときは、まとまった睡眠時間を確保することが困難でした。
このような状況下で、Aは、平成元年5月14日午前4時ころ、自宅においてくも膜下出血を発症したため、中央労働基準監督署長Yに対して、労災保険法による障害補償給付の支給を請求しましたが、平成8年に死亡してしまいました。そのため、Aの妻であるXは、改めて未支給の障害補償給付等の支給を請求したところ、Yがこれを支給しない旨の決定をし、東京都労働者災害補償保険審査官および労働保険審査会もXの請求を棄却したため、Xは、Yの処分の取消しを求める裁判を起こしました。その裁判の中で、Aの業務とAのくも膜下出血との間に相当因果関係があるかが問題になりました。

これについて、裁判所は、Aが発症前に従事していた業務は、業務以外の基礎的要因と比較して、本件疾病の発症につき相対的に有力な原因となったものといえるから、Aの業務と本件疾病の発症との間には相当因果関係がある旨判断しました。

(東京地方裁判所平成15年4月30日判決)

労災・過労死・過労自死に関して、くも膜下出血と業務との間の相当因果関係が認められた事例についての東京地方裁判所の裁判例を紹介させていただきました。

なお、労災・過労死・過労自死については、仙台の弁護士による労災・過労死・過労自死のご相談もご覧ください。