【労災・過労死・過労自死】【判例・裁判例】 労災保険法による休業補償給付等を被害者の受けた財産的損害のうちの積極損害又は精神的損害から控除することの可否
Y1社の従業員であるXは、就業中に、Y1の業務に関する作業方法についての意見の食い違いから、Y1社の従業員であるY2から暴行を受け、頚椎捻挫、左側胸部挫傷の傷害を負いました。これにより、Xは長期の入通院を要しました。
Xは、かかる労災事故による傷害を原因として、労働者災害補償保険法(労災保険法)による休業補償給付、傷病補償年金、厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)による障害年金を受領しました。
さらに、Xは、Y1社、Y2に対して、労災事故により被った損害について損害賠償(入院雑費、付添看護費、休業補償、慰藉料等)を求める裁判を起こしたところ、Y1、Y2がXは労災事故を原因として労災保険等の給付を受けたので、それを損害賠償額から控除すべきと主張したため、 労働者災害補償保険法による休業補償給付若しくは傷病補償年金又は厚生年金保険法による障害年金を被害者の受けた財産的損害のうちの積極損害又は精神的損害から控除することができるかが問題になりました。
これについて、裁判所は、労働者災害補償保険法による休業補償給付若しくは傷病補償年金又は厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)による障害年金は、被害者の受けた財産的損害のうちの積極損害又は精神的損害から控除すべきでない旨判断しました。
(最高裁判所昭和62年7月10日第二小法廷判決)
労災・過労死・過労自死に関して、 労災保険法による休業補償給付等を被害者の受けた財産的損害のうちの積極損害又は精神的損害から控除することの可否についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。
なお、労災・過労死・過労自死については、仙台の弁護士による労災・過労死・過労自死のご相談もご覧ください。