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【労災・過労死・過労自死】【判例・裁判例】 労働者災害補償保険法又は厚生年金保険法に基づく保険給付の確定と受給権者の使用者に対する損害賠償債権額から将来の給付額を控除することの要否

 
Xは、特殊自動車等の分解整備を業とするY社に整備工として雇用されていました。Xは、昭和42年6月7日、Y社の工場において、特殊車両の点検修理作業に従事中、同車のバケットを吊っていたワイヤーロープが突然切れ、バケットがXの頭上に落下し、Xはその下敷きとなってしまいました。
この労災事故により、Xは脳挫傷等の重傷を負い、全く労働能力を喪失してしまいましたが、これはワイヤーロープに瑕疵があったために発生したものでした。
そのため、Xは、民法717条に基づき、Y社に対し、損害賠償を求める裁判を起こしたところ、労働者災害補償保険法又は厚生年金保険法に基づく保険金の給付が確定している場合に受給権者の使用者に対する損害賠償債権額から将来の給付額を控除することを要するか問題になりました。

これについて、裁判所は、労働者災害補償保険法又は厚生年金保険法に基づき政府が将来にわたり継続して保険金を給付することが確定していても、いまだ現実の給付がない以上、将来の給付額を受給権者の使用者に対する損害賠償債権額から控除することを要しない旨判断しました。

(最高裁判所昭和52年10月25日第三小法廷判決)

労災・過労死・過労自死に関して、労働者災害補償保険法又は厚生年金保険法に基づく保険給付の確定と受給権者の使用者に対する損害賠償債権額から将来の給付額を控除することの要否についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、労災・過労死・過労自死については、仙台の法律事務所による労災・過労死・過労自死のご相談もご覧ください。