【不当解雇・雇止め・退職勧奨】【判例・裁判例】処分後に判明した非違行為の処分理由への追加
Xは、ホテル、公衆浴場等を業とするY社が経営する店舗で、マッサージ業務に従事していました。
Xは、平成5年8月31日、体調不良を理由に、翌9月1日から2日間の休暇を申し出たところ、Y社の代表者は、Xに対して出勤拒否等を理由とする懲戒解雇を言い渡しました。
そのため、Xは、Y社に対して地位保全等仮処分を申し立てたところ、平成6年4月11日、Y社は答弁書の中で、Xが採用の際に提出した履歴書に大幅な年齢詐称をしていたことを理由とする懲戒解雇の意思表示をしました(予備的解雇)。
その後、XがY社に対して、解雇の無効を理由として未払い賃金を求める裁判を起こしたところ、平成5年8月31日の懲戒解雇時点でY社が認識していなかったXの年齢詐称を懲戒解雇(平成5年8月31日付の懲戒解雇)の理由とすることができるか、すなわち、懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為の存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることの許否が問題となりました。
これについて、裁判所は、懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為の存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることは、特段の事情のない限り、許されない旨判断しました。
(最高裁判所平成8年9月26日第1小法廷判決)
不当解雇・雇止め・退職勧奨の問題に関して、処分後に判明した非違行為の処分理由への追加についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。
なお、不当解雇の問題については、仙台の弁護士による不当解雇・リストラのご相談もご覧ください。