【不当解雇・雇止め・退職勧奨】【判例・裁判例】整理解雇が不当解雇と判断された事例
Xは、Y社に入社し、生コン運転手として働いていました。平成10年2月27日、Y社は、Xに対し、解雇日を同年2月28日、解雇予告手当及び退職金1割増を支払、社会保険を同年3月31日まで支払うという解雇条件で整理解雇しました。
Xが従業員としての地位の確認と解雇1か月後からの給料の支払いを求めて裁判を起こしたところ、Y社による整理解雇の有効性が問題になりました。
これについて、裁判所は、人員削減の必要性、人選基準およびその適用の合理性、解雇回避措置について検討し、人員削減の必要性については、人員整理をしなければ倒産必須の状況であったとまで認めることはできず、本件解雇後、社員の新規採用をしたりアルバイト運転手を使用していることは人員整理という措置と矛盾していると判断しました。次に、人選基準とその適用の合理性については、被告が勤務状況として主張する欠勤については、これは、有給休暇と振替休日の合計数であり、これらの多さを不利に斟酌することは疑問であるし、また健康状態の不安として主張する股関節痛や血尿も、女性生コン運転手の職業病的な側面があり、解雇理由として考慮することには躊躇せざるを得ない等の判断を示しました。そして、解雇回避措置については、人員整理の緊急性に疑問があり、経営合理化策は十分なものであったといえず、退職勧奨、希望退職者の募集等の措置も講じられていなかったこと等から、信義則上相当の解雇回避努力が尽くされたとはいえないと判断しました。そして、結論として、本件解雇は解雇権の濫用であって無効である旨判断しました。
(鹿児島地方裁判所平成11年11月19日判決)
不当解雇・雇止め・退職勧奨の問題に関して、整理解雇が不当解雇と判断された事例についての鹿児島地方裁判所の裁判例を紹介させていただきました。
なお、不当解雇の問題については、仙台の法律事務所による不当解雇・リストラのご相談もご覧ください。