再転相続人の相続放棄の効力
相続放棄の判例
最高裁判所第三小法廷 昭和63年6月21日判決
事案の概要
本件不動産は、Aの所有でした。
Aは昭和57年10月26日に死亡し、その相続人はAの子Bと代襲相続人である孫のXら5名であったところ、BはAの相続につき承認又は放棄をしないでその熟慮期間内である昭和57年11月16日死亡し、その法定相続人であるC、D、Eの3名は、Aの相続につき昭和58年1月25日、相続放棄の申述をして受理されました。
その後、C、D、Eは、Bの相続についても相続放棄の申述をして受理されました。
Yらは、Bに対し商品代金等の債権を有していたものであるところ、BがAから本件不動産を法定相続分の2分の1につき相続したものと主張して(なお、Yらは、BがAから相続により2分の1につき相続をしたとの所有権移転登記を代位により経由しています。)、Bを債務者として本件不動産の同人の持分2分の1につき不動産仮差押を申請し、裁判所は、昭和57年11月8日、同申請を認容する旨の決定をし、同決定の正本に基づき本件不動産のBの持分2分の1につき仮差押登記を嘱託しました。
Xらは、Yらに対し、C、D、EがAの相続について放棄をしたことにより、BははじめからAの相続人とはならなかったものとみなされるから、本件不動産につきなされたYらの仮差押えの登記は無効であるとして第三者異議の訴えを提起しました。
争点
甲の相続につきその法定相続人乙が承認または放棄をしないで死亡したいわゆる再転相続において、乙の法定相続人丙が甲の相続についてした放棄はその後に乙の相続についてした放棄によって、遡及的に無効となるか
裁判所の判断の要旨
甲の相続につきその法定相続人乙が承認または放棄をしないで死亡したいわゆる再転相続において、乙の法定相続人丙は、乙の相続について放棄をしていない場合は、甲の相続について放棄することができ、かつ、甲の相続について放棄をした後乙の相続について放棄をしても、丙が先に再転相続人たる地位に基づいて甲の相続についてした放棄の効力は、遡及的に無効にはならない。
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