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【遺言】【判例・裁判例】負担付死因贈与の負担履行後の撤回の可否

 
Aは、その長男であるXとの間で、Xが在職中、Aに毎月3000円以上、年2回のボーナス月にはボーナスの半額を贈与するものとし、Xがこれを履行した場合は、Aは遺産全部をAの死亡時にXに贈与する旨の負担付死因贈与契約を締結しました。
ところが、Aは、同死因贈与契約締結後に、財産を二男Y1及び三女Y2に遺贈し、弁護士Y3を遺言執行者とする旨の自筆証書遺言をしました。
他方、Xは、退職するまでAとの約束を守って、Aに対して金員の支払を続けていました。
Aの死後、Xは、死因贈与契約によりAの全遺産を取得したと主張して、Yらに対して遺言無効確認の訴えを起こしたところ、Yらは、仮にX主張の死因贈与契約が締結されたとしても、同契約はその後にされた遺言によって取り消されたものとみなされると主張したため、負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与の受贈者が負担の全部又はこれに類する程度の履行をした場合に民法1022条、1023条の規定が準用されるかが問題になりました。

これについて、裁判所は、負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与契約に基づいて受贈者が約旨に従い負担の全部又はそれに類する程度の履行をした場合においては、贈与者の最終意思を尊重するの余り受贈者の利益を犠牲にすることは相当でないから、右贈与契約締結の動機、負担の価値と贈与財産の価値との相関関係、右契約上の利害関係者間の身分関係その他の生活関係等に照らし右負担の履行状況にもかかわらず負担付死因贈与契約の全部又は一部の取消をすることがやむをえないと認められる特段の事情がない限り、遺言の取消に関する民法1022条、1023条の各規定を準用するのは相当でないと解すべきである旨判断しました。

(最高裁判所昭和57年4月30日第二小法廷判決)

遺言に関して、負担付死因贈与の負担履行後の撤回の可否についての最高裁判所の判例をご紹介させていただきました。

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