【遺言】【判例・裁判例】公正証書遺言の方式
Aは、妻Y1、子Y2、X1らと別居し、X2と同居して、X2と生計を共にしていましたが、昭和37年6月ころから病気で寝ているようになりました。そのため、Aは、自分の死後、X2と妻子の間に財産上の紛争が生じることを恐れ、X2と相談した結果、自己の主な財産である不動産をY1、Y2、X1、X2の4名に均等に分ける旨の公正証書遺言をすることにし、X2にその作成を依頼しました。
X2は、同年10月3日ころ公証役場に行き、公証人に遺言内容を告げて公正証書の作成を嘱託しました。公証人は、X2から聞き取った遺言の内容を筆記したうえ、同月5日にA方に行き、A本人と立会証人2人の面前で、すでに公正証書用紙に清書してある遺言の内容を読み聞かせたところ、Aは、「この土地と家は皆の者に分けてやりたかった。」と言って公正証書用紙に自ら署名押印しました。
Aの死後、同不動産について、Y1、Y2、X1、X2のために各持分4分の1の所有権移転登記がなされました。
このような状況下で、裁判上、民法969条2号と3号の順序が逆になった場合の公正証書遺言の効力などが問題になりました。
これについて、裁判所は、公証人が、あらかじめ他人から聴取した遺言の内容を筆記し、公正証書用紙に清書したうえ、その内容を遺言者に読み聞かせたところ、遺言者が右遺言の内容と同趣旨を口授し、これを承認して右書面にみずから署名押印したときは、公正証書による遺言の方式に違反しない旨判断しました。
(最高裁判所昭和43年12月20日第二小法廷判決)
遺言に関して、公正証書遺言の方式についての最高裁判所の判例をご紹介させていただきました。
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