【相続放棄】【判例・裁判例】相続放棄と錯誤無効2
Aは昭和29年2月20日に死亡しましたが、相続人としては、妻Y1、子X、子Y2~Y7らがいました。
Y2~Y6は、昭和29年6月2日に相続放棄の申述をし、Y7もXからお金を支払ってもらい相続放棄することになっていましたが、その支払いがなされなかったため、相続放棄が受理される前に申述を取り下げました。
そのため、XがY2~Y7に対し、Y2~Y6はY7が相続放棄の申述を取り下げることを知っていたら相続放棄をしなかったはずなので、Y2~Y6の相続放棄は錯誤により無効であると主張して、Aの遺産である不動産について、各自の相続分に応じた共有持分の確認等を求めて裁判を起こしたところ、他の相続人が相続放棄すると考えて相続放棄したが他の相続人が相続放棄しなかった場合に、相続放棄に民法95条の錯誤無効の規定が適用されるかが問題になりました。
これについて、裁判所は、Y2~Y6の相続放棄はY7の相続放棄とは別個にそれと無関係になされたものというべく、Y2~Y6が結局において相続放棄をしてくれるであろうとの期待の下に相続放棄をなしたのは縁由の錯誤に過ぎず要素の錯誤があるとすることはできない旨判断しました。
(最高裁判所昭和40年5月27日第一小法廷判決)
相続放棄に関して、相続放棄と錯誤無効についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。
なお、相続放棄については、仙台の法律事務所による相続放棄のご相談もご覧ください。