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【相続】【判例・裁判例】民法976条1項にいう遺言の趣旨の口授

 
遺言者であるAは、糖尿病、慢性腎不全、高血圧症、両眼失明、難聴等の疾病に重症の腸閉塞、尿毒症等を併発して病院に入院していました。
重篤な病状がいったん回復して意識が清明になっていた時に、Aは、妻Yに対し、Yに家財や預金等を与える旨の遺言書を作成するよう指示しました。
Yは、かねてから面識のあるB弁護士に相談の上、担当医師らを証人として民法976条所定のいわゆる危急時遺言による遺言書の作成手続を執ることにし、また、B弁護士の助言によりB弁護士の法律事務所のC弁護士を遺言執行者とすることにし、その旨Aの承諾を得た上で、Aの担当医師であるⅮ医師ら3名に証人になることを依頼しました。
Ⅾ医師らは、B弁護士から、B弁護士がYから聴取した内容を基に作成した遺言書の草案の交付を受け、Aの病室を訪ね、Ⅾ医師において、Aに対し、「遺言をなさるそうですね。」と問いかけ、Aの「はい。」との返答を得た後、「読み上げますから、そのとおりであるかどうか聞いて下さい。」と述べて、右草案を一項目ずつゆっくり読み上げたところ、Aは、Ⅾ医師の読み上げた内容にその都度うなずきなから「はい。」と返答し、遺言執行者となる弁護士の氏名が読み上げられた際には首をかしげる仕種をしたものの、同席していたYからその説明を受け、「うん。」と答え、Ⅾ医師から、「いいですか。」と問われて「はい。」と答え、最後に、D医師から、「これで遺言書を作りますが、いいですね。」と確認され、「よくわかりました。よろしくお願いします。」と答えた。
D医師らは、医師室に戻り、D医師において前記草案内容を清書して署名押印し、他の医師2名も内容を確認してそれぞれ署名押印して、本件遺言書を作成した。
その後Aは亡くなりました。
このような状況で、Aと先妻との間の子Xらが、Aの遺言は危急時遺言の要件を欠いて無効である等と主張して、Yに対し、遺言の無効確認等を求める裁判を起こしたところ、上記のような状況で民法976条1項にいう遺言の趣旨の口授があったといえるかが問題になりました。

これについて、裁判所は、危急時遺言に当たり、立ち会った証人の1人があらかじめ作成された草案を1項目ずつ読み上げ、遺言者が、その都度うなずきながら「はい」などと返答し、最後に右証人から念を押され了承する旨を述べたなど判示の事実関係の下においては、民法976条1項にいう遺言の趣旨の口授があったものということができる旨判断しました。

(最高裁判所平成11年9月14日第3小法廷判決)

遺言に関して、 民法976条1項にいう遺言の趣旨の口授についての最高裁判所の判例をご紹介させていただきました。

なお、遺言については、仙台の法律事務所による遺言のご相談もご覧ください。