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被用者の使用者に対する求償の可否

労働問題の判例
最高裁判所第二小法廷 令和2年2月28日判決

事案の概要

Y社は、貨物運送を業とする資本金300億円以上の株式会社であり、全国に多数の営業所を有しています。Y社は、その事業に使用する車両全てについて自動車保険契約等を締結していませんでした。
Xは、平成17年5月、Y社に雇用され、トラック運転手として荷物の運送業務に従事していました。
Xは、平成22年7月26日、Y社の業務としてトラックを運転中、信号機のない交差点を右折する際、同交差点に進入してきたAの運転する自転車に上記トラックを接触させ、Aを転倒させる事故(以下「本件事故」といいます。)を起こしました。Aは、同日、本件事故により死亡しました。
Y社は、Aの治療費として合計47万円余りを支払いました。
Aの相続人は、その長男及び二男(以下、それぞれ単に「長男」、「二男」といいます。)でした。
二男は、平成24年10月、Y社に対して本件事故による損害の賠償を求める訴訟を提起しました。平成25年9月、二男とY社との間で訴訟上の和解が成立し、Y社は、二男に対して和解金1300万円を支払いました。
長男は、平成24年12月、Xに対して本件事故による損害の賠償を求める訴訟を提起しました。控訴審裁判所は、平成27年9月、1383万円余り及び遅延損害金の支払を求める限度で長男の請求を認容する判決を言い渡し、その後、同判決は確定しました。
Xは、平成28年6月、上記判決に従い、長男のために1552万円余りを有効に弁済供託しました。
このような状況で、XがY社に対し、求償権に基づいて弁済供託した金額の支払いを請求しました。

争点

被用者が使用者の事業の執行について第三者に加えた損害を賠償した場合における被用者の使用者に対する求償の可否

裁判所の判断の要旨

被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を加え、その損害を賠償した場合には、被用者は、使用者の事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防又は損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から相当と認められる額について、使用者に対して求償することができる。

労働問題に関して、被用者の使用者に対する求償の可否についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、労働問題については、仙台の弁護士による労働問題のご相談もご覧ください。