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【労働問題】【判例・裁判例】平和義務違反の争議行為を理由とする懲戒処分の許否

 
Y社は旅客運送事業を営む株式会社で、X1およびX2は、Y社のA営業所に勤務する従業員でしたが、B労働組合の組合員で、同組合車掌支部長ならびに副支部長の地位にありました。
Y社とB労組では、①昭和34年3月10日締結の賃上げ争議妥結協定において「今後の労使関係について双方は良識と理解と信義に立脚する企業繁栄のための最善の努力と協力を確立する」とし、同月25日締結の細目協定では「組合は会社の昭和34年度事業計画達成のため全面的に会社に協力するとともに、労使間は問題を常に平和的に解決する」旨を約していました。また、②両者の間で昭和33年3月18日に締結された労働協約には「本協約の有効期間は調印の日から昭和35年6月7日迄とする。期間満了後1ヶ月を限り有効とする。但し、期間内でも両者の合意により変更することが出来る」旨規定されていました。
B労組は昭和35年1月、賃上げおよび労働協約改訂を求めてY社と団交を重ねましたが、妥結に至らなかったことから、同年3月7日以降5月6日までストを実施しました。この間B労組は大量のビラ貼付、無許可職場集会を強行し、車掌控え室における労働歌の高唱などを行いました。
Xらは職場集会を強行したことを理由に、同年3月25日より14日間ないし10日間の出勤停止処分を受け、さらに同年4月15日、前記の行動による秩序紊乱、業務妨害行為を理由に懲戒解雇処分に付されました。
そのため、Xらは、Y社に対して、同処分が無効であると主張し、従業員としての地位確認を求める裁判を起こしたところ、Y社は上記争議妥結協定はB労組が昭和34年度に争議行為を行わない絶対的平和義務を定めたものであったが、B労組によるスト等はこれに違反し、またこれらが労働協約の有効期間中になされたものであることから、相対的平和義務にも違反するものであったと主張したため、平和義務違反の争議行為を理由とする懲戒処分の許否が問題になりました。

これについて、裁判所は、使用者は、労働者が労働協約に基づく平和義務に違反する争議行為をし、またはこれに参加したことのみを理由として、当該労働者を懲戒処分に付することは許されない旨判断しました。

(最高裁判所昭和43年12月24日第三小法廷判決)

労働問題に関して、平和義務違反の争議行為を理由とする懲戒処分の許否についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、労働問題については、仙台の法律事務所による労働問題のご相談もご覧ください。