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【労働問題】【判例・裁判例】労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の物的施設を利用して行う組合活動の当否

 
XらはYの従業員であり、A労働組合に所属していました。
Aは、賃上げ要求とともに、Yの合理化案への反対や団結力の高揚等を目的としたビラ貼り闘争の実施をA札幌地方本部に指令し、さらにA札幌地方本部は傘下の支部・分会に対して同指令の実施を命じました。  
Xらはこれにより組合員が日常使用している「詰所」内のロッカーに各1~2枚のビラをセロテープで添付しました。これらのビラは縦約40cm、横約13cmの形状のもので、その下部に「A組合札幌地本」と印刷され、余白部分に「合理化反対」等の文言が記載されていました。
Yは、その管理する施設に許可なく文書等を掲示することを禁じ、組合に対しても掲示板以外への組合文書の掲示を禁止していました。そこで、Xらのビラ貼りの中止を命じましたが、Xらがこれを無視したため、Yは就業規則の懲戒規定に基づき、Xらを戒告処分に付しました。
そのため、Xらが、この戒告処分が無効だとして、戒告処分の付着しない労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求める裁判を起こしたところ、労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の物的施設を利用して行う組合活動の当否が問題になりました。

これについて、裁判所は、労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の所有し管理する物的施設を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該施設につき使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、当該施設を管理利用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであり、正当な組合活動にあたらない旨判断しました。

(最高裁判所昭和54年10月30日第三小法廷判決)

労働問題に関して、労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の物的施設を利用して行う組合活動の当否についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、労働問題については、仙台の法律事務所による労働問題のご相談もご覧ください。