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【労働問題】【判例・裁判例】会社の安全配慮義務

 
Y社の見習い従業員であるAは、宿直勤務中、以前より面識はあるものの、その素行の悪さから警戒していた元従業員Bに、意に反して社屋内に立ち入られてしまいました。Aは、Bに対して退去を促しましたが、Bはそれに応じませんでした。そして、Aは、Bから威圧的態度に出られたため、「Bが来ると商品が紛失する。」などと言って反抗したところ、もともと窃盗の意図をもって訪れていたBに首を絞められたうえバットで頭部を殴打され、殺されてしまいました。
そのため、Aの両親であるXらは、Y社の安全配慮義務違反を理由にY社に対して損害賠償を求める裁判を起こしたところ、Y社に安全配慮義務違背に基づく損害賠償責任があるかが問題になりました。

これについて、裁判所は、会社が、夜間においても、その社屋に高価な反物、毛皮等を多数開放的に陳列保管していながら、右社屋の夜間の出入口にのぞき窓やインターホンを設けていないため、宿直員においてくぐり戸を開けてみなければ来訪者が誰であるかを確かめることが困難であり、そのため来訪者が無理に押し入ることができる状態となり、これを利用して盗賊が侵入し宿直員に危害を加えることのあるのを予見しえたにもかかわらず、のぞき窓、インターホン、防犯チェーン等の盗賊防止のための物的設備を施さず、また、宿直員を新入社員1人としないで適宜増員するなどの措置を講じなかったなどの事実関係がある場合において、1人で宿直を命ぜられた新入社員がその勤務中にくぐり戸から押し入った盗賊に殺害されたときは、会社は、右事故につき、安全配慮義務に違背したものとして損害賠償責任を負うものというべきである旨判断しました。

(最高裁判所昭和59年4月10日第三小法廷判決)

労働問題に関して、会社の安全配慮義務についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、労働問題については、仙台の法律事務所による労働問題のご相談もご覧ください。