遺産分割協議が詐害行為取消の対象となるか
相続の判例
最高裁判所第二小法廷 平成11年6月11日判決
事案の概要
Aは、借地権を有する土地上に建物(以下「本件建物」といいます。)を所有し、本件建物において妻であるY1らと居住していました。
Aは、昭和54年2月24日に死亡し、その相続人は、Y1並びに子であるY2及びY3の3名でした。Y2は昭和52年に、Y3は同57年に、それぞれ婚姻し、その後、他所で居住するようになりましたが、Y1は、本件建物に居住していました。
Xは、平成5年10月29日、B及びCを連帯債務者として、同人らに対して300万円を貸し渡し、Y1は、同日、Xに対し、上記金銭消費貸借契約に係るBらの債務を連帯保証しました。
本件建物の所有名義人はAのままでしたが、BらのXに対する上記債務に基づく支払が遅滞し、その期限の利益が失われたことから、Xは、平成7年10月11日、Y1に対し、上記連帯保証債務の履行及び本件建物についての相続を原因とする所有権移転登記手続をするよう求めました。
Yらは、平成8年1月5日ころ、本件建物について、Y1はその持分を取得しないものとし、Y2とY3が持分2分の1ずつの割合で所有権を取得する旨の遺産分割協議を成立させ(以下「本件遺産分割協議」といいます。)、同日、その旨の所有権移転登記を経由しました。
Y1は、Xの従業員に対し、上記連帯保証債務を分割して長期間にわたって履行する旨を述べていたにもかかわらず、平成8年3月21日、自己破産の申立てをしました。
そのため、Xは、本件遺産分割協議が詐害行為に当たると主張し、Y2及びY3に対して、本件遺産分割協議を取り消すとともに、法定相続分に応じた持分となるようにY1に対する所有権移転登記手続を求めました。
争点
共同相続人の間で成立した遺産分割協議が詐害行為取消権行使の対象となるか
裁判所の判断の要旨
共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となる。
相続に関して、遺産分割協議が詐害行為取消の対象となるかについての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。
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