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【相続】【判例・裁判例】限定承認をした相続人が死因贈与による不動産の取得を相続債権者に対抗することの可否

 
Aは、昭和62年12月21日、その3人の子供のうちのX1、X2に対し、自己所有土地を持分2分の1ずつAの死亡を始期として死因贈与し、その旨の始期付所有権移転仮登記手続をしました。
Aは、平成5年5月に死亡しましたが、相続人は、子であるB、X1、X2でした。Bは、同年7月、相続放棄の申述が受理され、X1、X2は、同年8月、限定承認の申述が受理されました。また、同月、X1、X2は、上記土地につき仮登記に基づく所有権移転登記を経由しました。
Yは、Aに対して有する債権についての執行力ある公正証書正本に、Aの相続財産の限度内においてその一般承継人であるX1、X2に対し強制執行することができる旨の承継執行文の付与を受け、これを債務名義として上記土地につき強制競売の申立てをし、平成6年11月29日、強制競売開始決定がされ、上記土地に差押登記がされました。
そのため、X1、X2が、Yに対して、上記土地は相続財産には含まれないとして請求異議(正確には第三者異議)の裁判を起こしたところ、限定承認をした相続人が死因贈与による不動産の取得を相続債権者に対抗することの可否が問題になりました。

これについて、裁判所は、不動産の死因贈与の受贈者が贈与者の相続人である場合において、限定承認がされたときは、死因贈与に基づく限定承認者への所有権移転登記が相続債権者による差押登記よりも先にされたとしても、信義則に照らし、限定承認者は相続債権者に対して不動産の所有権取得を対抗することができない旨判断しました。

(最高裁判所平成10年2月13日第二小法廷判決)

相続に関して、限定承認をした相続人が死因贈与による不動産の取得を相続債権者に対抗することの可否についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、相続については、仙台の弁護士による相続のご相談もご覧ください。