宮城県仙台市の弁護士・法律事務所です。相続、労働、交通事故などご相談ください。

宮城県仙台市青葉区片平1-1-6 ネオハイツ片平602号

  • 022-223-6657

あらかじめご連絡をいただければ、休日、夜間のご相談にも対応いたします。

【相続】【判例・裁判例】母の死亡による相続の場合の第三者保護の有無

 
Aの非嫡出子X、B、Cは、いずれも他の夫婦の子として届出がされましたが、CはAと養子縁組をしました。
その後、Aが死亡し、X、Bは、Aの非嫡出子として、CはAの養子としてAを相続しました。相続分は、X、Bが各4分の1、Cが2分の1でしたが、XはBの4分の1の持分の譲渡を受けて持分2分の1となりました。ところが、Cは、戸籍上では自己が唯一の相続人となっていたことから、X、Bに無断で、Aの遺産である不動産についてC単独の相続登記を経たうえ、Y1、Y2に売り渡しました。その後、Xは、Aとの間の母子関係存在の確認の訴えを提起し、XとAの母子関係が認められました。
そこで、XがY1、Y2に対し、Aの遺産である不動産のにつき2分の1の持分を有することの確認と、CからY1、Y2への所有権移転登記をCの2分の1の共有持分移転登記に改める更正登記手続をすることを求めて裁判を起こしたところ、母の死亡による相続につき遺産の分割その他の処分後に共同相続人である子の存在が明らかになった場合に、民法784条但書、910条を類推適用して善意で遺産の譲渡を受けた第三者を保護すべきかが問題になりました。

これについて、裁判所は、母とその非嫡出子との間の親子関係は、原則として、母の認知をまたず分娩の事実により当然に発生するものと解すべきであり、母子関係が存在する場合には認知によって形成される父子関係に関する民法784条但書を類推適用すべきではなく、また、同法910条は、取引の安全と被認知者の保護との調整をはかる規定ではなく、共同相続人の既得権と被認知者の保護との調整をはかる規定であって、遺産分割その他の処分のなされたときに当該相続人の他に共同相続人が存在しなかった場合における当該相続人の保護をはかるところに主眼があり、第三取得者は右相続人が保護される場合にその結果として保護されるのにすぎないのであるから、相続人の存在が遺産分割その他の処分後に明らかになった場合については同法条を類推適用することができないものと解するのが相当である旨判断しました。

(最高裁判所昭和54年3月23日第二小法廷判決)

相続に関して、母の死亡による相続の場合の第三者保護の有無についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、相続については、仙台の弁護士による相続のご相談もご覧ください。