【相続】【判例・裁判例】書面によらない死因贈与の贈与者死亡後の取消し
AとB夫婦の間には子がいませんでした。Aの死後、Bは亡Aの甥であるXら夫婦と養子縁組を結びましたが、次第に疎遠となりました。
その後、Bは、亡Aの甥C夫婦と共にD弁護士の事務所に行き、D弁護士に、養子のXら夫婦に財産をやりたくなく、Cに対し条件付で全財産を贈与する旨の話をし、D弁護士はそれに基づきメモを取り、Cもこれに異議を唱えず、Bは遺言書の作成をD弁護士に依頼して、公正証書遺言を作ることにしました。ところが、Bは、その3日後に交通事故で急死し、公正証書遺言は作成されませんでした。
このような状況で、Xが、亡BのCに対する死因贈与の取消しを主張し、亡Bに対して貸金・賃料の支払い義務を負っていたYに対して、相続人としてこれらの支払いを求める裁判を起こしたところ、書面によらない死因贈与契約を贈与者の死後相続人により取り消すことができるかが問題になりました。
これについて、裁判所は、死因贈与も贈与の一種であって、その方式については遺贈のような厳格な要件が必要とされていないのであるから、民法550条の立法趣旨はそのまま妥当するのであって、同条の適用を排斥して死因贈与についてだけ贈与者の死後は相続人が取り消すことができないとする理由はない旨判断しました。
(東京高等裁判所平成3年6月27日判決)
相続に関して、書面によらない死因贈与の贈与者死亡後の取消しについての東京高等裁判所の裁判例を紹介させていただきました。
なお、相続については、仙台の法律事務所による相続のご相談もご覧ください。