【労働問題】【判例・裁判例】団体交渉を求める地位の確認
Y社においては、国有事業の時代から職員に対し無料で乗車を認める鉄道乗車証制度が存在しましたが、同制度に対してはかねてから批判がありました。そこで、Y社は制度改正作業を開始して改正案を作成し、夕刊と部内広報誌においてその内容を発表、制度改正の通達を発した後、これを実施しました。
この間、Y社の職員により構成される労働組合であるX組合は、Y社に対し団体交渉の申入れを行いましたが、乗車証制度の改正は団体交渉の対象事項ではないとして、Y社はこれに応じませんでした。
そのため、X組合が、Y社に対して、乗車証制度改正に関してY社がX組合と団体交渉を行う義務があることの確認等を求める裁判を起こしたところ、X組合が、Y社に対して乗車証制度改正に関して団体交渉を求め得る地位にあるか問題になりました。
これについて、裁判所は、国鉄労働組合から日本国有鉄道清算事業団に対し鉄道乗車証制度の改廃に関する事項につき団体交渉を求め得る地位にあることの確認を求める訴えは、両者の間で右事項が団体交渉の対象事項であるか否かが争われているときは、確認の利益を欠くものとはいえず、適法である旨判断しました。
(最高裁判所平成3年4月23日第三小法廷判決)
労働問題に関して、団体交渉を求める地位の確認についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。
なお、労働問題については、仙台の弁護士による労働問題のご相談もご覧ください。