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自己所有の自動車に同乗した所有者の他人性

交通事故の判例
最高裁判所第二小法廷 昭和57年11月26日判決

事案の概要

Aは、自己所有の本件自動車に友人数名を乗せてスナックに行き、同店で友人らと飲酒したのち、同店を出ました。
Aは、本件自動車により最寄駅まで他の者を送ってから帰宅するつもりでいたところ、友人達を自分の下宿に連れて行き飲み直すつもりになっていたY1から自分に本件自動車をまかせ運転させて欲しいと求められて渋々これを承諾し、車の使用をY1に委ねることとし、車の鍵を同人に渡してみずからは電車で帰宅するつもりで最寄駅まで行くため本件自動車の後部座席の右端に乗りました。
Y1の考えていた行先は、ひとまず最寄駅に行き電車で帰宅する者を下車させたのち残りの友人と飲み直すためにその下宿先にということでしたが、そのうち自己の運転操作の誤りにより本件自動車を左右に大きく蛇行させた挙句、右側ガードレールに車体の右側面を激突させて横転させるという事故を起し、Aを死亡させました。
そのため、Aの父母Xらが、運転者Y1に対し自賠法3条に基づき、本件自動車を目的として自動自賠責保険契約を結んでいた保険会社Y2社に対し自賠法16条に基づき、損害賠償額の支払を求めました。

争点

自己所有の自動車の運転を友人に委ねて同乗中友人の惹起した事故により死亡した者が友人との関係において自動車損害賠償保障法3条の他人にあたるか

裁判所の判断の要旨

自動車の所有者が、友人にその運転を委ねて同乗中、友人の惹起した事故により死亡した場合において、所有者がある程度友人自身の判断で運行することを許していたときでも、友人が所有者の運行支配に服さずその指示を守らなかった等の特段の事情があるのでない限り、所有者は、友人に対する関係において自動車損害賠償保障法3条の他人にあたらない。

交通事故に関して、自己所有の自動車に同乗した所有者の他人性についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、交通事故については、仙台の法律事務所による交通事故のご相談もご覧ください。