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【相続】【判例・裁判例】相続人名義の取引履歴の提出義務

 
Xら及びBは、Aの相続人です。
Aは、生前、Bに対して自己の財産を遺贈する公正証書遺言を残していました。また、Bは、Aの生前、Aの5つの預貯金口座のうち4口座の通帳を保管していたところ、これらの口座から多額の使途不明の出金がありました。
このような状況下で、Xらは、Aから遺贈を受けたBに対し、遺留分減殺請求権を行使して、遺産に属する不動産につき共有持分権の確認や共有持分移転登記手続を求め、預貯金につき金員の支払いを求める訴えを提起しました。
そして、Xらは、遺留分算定の基礎として、A名義の口座からの使途不明の出金は、AからBへの贈与による特別受益に当たる、あるいは、BはAに対する返還債務または損害賠償債務を負担していると主張し、Bが払戻しを受けた金員をB名義の預金口座に入金した事実を立証するとして、Bの取引金融機関であるYに対しBとの取引履歴が記載された取引明細表の提出を命じるよう求める文書提出命令の申立てをしました。
それに対し、Yは、明細表の内容が民事訴訟法220条4号ハ、197条1項3号所定の「職業の秘密」に該当するので提出義務を負わないと主張したところ、金融機関と顧客との取引履歴が記載された明細表が、民訴法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書といえるかが問題になりました。

これについて、裁判所は、金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について、当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合には、同情報は、金融機関がこれにつき職業の秘密として保護に値する独自の利益を有するときは別として、民訴法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されない旨判断しました。

(最高裁判所平成19年12月11日第三小法廷決定)

相続に関して、相続人名義の取引履歴の提出義務についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

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