【交通事故】【判例・裁判例】返還約束が守られない場合の自動車所有者の運行供用者責任
Yは、友人であるAに対し、2時間後に返すという約束で自己所有の自動車を貸しました。しかし、Aは約束に反して自動車を返さず、Yによる返還請求に応じずに約1か月にわたって自動車の使用を継続しました。そして、当該自動車を運転中に対向車と衝突するという交通事故を起こし、Bを死亡させてしまいました。そのため、Bの遺族であるXらがAに対してのみならずYに対しても損害賠償請求の裁判を起こしたところ、自動車の所有者であるYが自動車損害賠償保障法3条の運行供用者としての責任を負うかが問題となりました。
これについて、裁判所は、Aが、長期間乗り回す意図の下に、2時間後に確実に返還するかのように装いYを欺いて借り受け、返還期限を経過した後は、Yに対してその場しのぎの約束を繰り返して返還を引き延ばしており、YはAから連絡を受ける都度自動車を直ちに返還するよう求めていたなどの事実関係の下においては、Yは、自動車損害賠償保障法3条にいう運行供用者に当たらない旨判断しました。
(最高裁判所平成9年11月27日第一小法廷判決)
交通事故に関して、返還約束が守られない場合の自動車所有者の運行供用者責任についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。
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