【交通事故】【判例・裁判例】胎児の死亡による損害
Xは、昭和52年5月18日、Y運転の自動車に追突されるという交通事故被害に遭い、整形外科病院で頸椎捻挫の治療を受けました。また、Xは、同年7月末に、産婦人科医院の診察を受けたところ、「妊娠3か月重性妊娠悪阻」と診断されました。Xは、整形外科病院で、頸椎捻挫の治療を受けながら妊娠を継続して分娩することは、母体への悪影響の他、奇形児が生まれてくるおそれがあると判断されたため、同病院の説得で、産婦人科医院で人工妊娠中絶手術を受けました。
そのため、XはYに対して、妊娠中絶の費用と、妊娠中絶をしなければならなくなったことに対する慰謝料等の支払いを求める裁判を起こしたところ、Xの懐妊時期が事故の前か後か分からない場合にかかる請求が認められるかが問題になりました。
これについて、裁判所は、事故前に妊娠していた場合はもちろんのこと、事故後に妊娠したと仮定しても、妊娠中絶によるXの損害が本件事故により通常生ずべき損害の範囲内にあることを否定しえない旨判断しました。
(東京高等裁判所昭和56年3月25日判決)
交通事故に関して、胎児の死亡による損害についての東京高等判所の裁判例を紹介させていただきました。
なお、交通事故については、仙台の弁護士による交通事故のご相談もご覧ください。