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【交通事故】【判例・裁判例】示談と後遺症

 
貨物自動車運送業を営むYの被用者であるAは、貨物自動車を運転中、過失によりBに接触し、傷害を負わせてしまいました。
事故当日の医師の診断では、15週間の安静加療を要するとされ、B自身は比較的軽微な負傷と考えました。そのため、数日後、BとYとの間で、「本件事故による治療費その他慰藉料等の一切を自動車損害賠償保険金により支払」い、「爾後本件に関しては双方何等の異議要求を申立てない」旨の条項が入った示談書が交わされ、Bは自賠責保険金10万円の支払いを受けました。
しかし、事故の1か月後、Bに後遺症が発生し、怪我が予想外に重大であることが判明したため、Bは労災の保険金給付請求をし、国からBに約40万円の保険給付がなされました。
このような状況で、国が、BのYに対する損害賠償請求権を上記保険給付の限度において取得したとしてYに当該金額の支払いを求める裁判を起こしたところ、Yは、上記保険給付前に締結された上記示談契約によりBのYに対する損害賠償請求権はすでに消滅している旨の主張をしたことから、示談当時予想しなかった後遺症等が発生した場合と示談の効力が問題になりました。

これについて、裁判所は、交通事故による全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に、小額の賠償金をもって示談がされた場合において、右示談によって被害者が放棄した損害賠償請求は、示談当時予想していた損害についてのみと解すべきであって、その当時予想できなかった後遺症等については、被害者は、後日その損害の賠償を請求することができる旨判断しました。

(最高裁判所昭和43年3月15日第二小法廷判決)

交通事故に関して、示談と後遺症についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、交通事故については、仙台の弁護士による交通事故のご相談もご覧ください。