【交通事故】【判例・裁判例】泥棒運転の場合の同乗者の他人性
A、Bは、公道上に半ドア状態で駐車されている自動車を見つけ、Aが運転席に,Bが助手席に乗り込みました。そして、Aは、エンジンキーが差し込まれたままであるのを見つけたため、自動車を発進させたところ、約150メートル進んだ地点で電信柱に激突するという交通事故を起こしし、助手席に乗っていたBが死亡してしまいました。
なお、本件自動車は、C社の従業が、帰社後、同社の社長が使用すると思い、キーを差し込んだままドアをロックしておかなかったところ、社長が別の車で帰宅したため、前記状況で駐車されていたものでした。
Bの両親であるXらがC会社と自賠責保険契約を結んでいたY保険会社に対して、自動車損害賠償保障法16条に基づいて損害賠償請求したところ、友人が窃取し運転していた自動車に同乗中友人の起した事故により死亡した被害者の両親は、被害者が自動車損害賠償保障法3条にいう他人にあたることを主張できるかが問題になりました。
これについて、裁判所は、友人が窃取し運転していた自動車に同乗中、友人の起した事故により死亡した被害者において友人の窃取及び運転を容認していたなどの事実関係のもとにおいては、両名の運行支配が本件自動車の保有者のそれに比較して直接的、顕在的、具体的であるというべきであって、被害者の両親は自動車の保有者に対して被害者が自動車損害賠償保障法3条にいう他人にあたることを主張することはできない旨判断しました。
(最高裁判所昭和57年4月2日第二小法廷判決)
交通事故に関して、泥棒運転の場合の同乗者の他人性についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。
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