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【交通事故】【判例・裁判例】後遺障害による逸失利益の算定に当たり交通事故後の別の原因による被害者の死亡を考慮することの許否2

 
Aが自動二輪車を運転して走行中、Y1が普通貨物自動車を運転して沿道にあるY2社経営のガソリンスタンド敷地内から、Y2社の従業員の誘導で、A運転の自動二輪車の走行車線上に進入しました。そのため、AはY1運転の普通貨物自動車との衝突を回避しようとして急制動し、転倒する交通事故を起こしてしまいました。Aは、これにより左膝と右手の指を骨折し、後遺障害を残して症状が固定しました。ところが、当該交通事故から約1年8か月後、Aは、当該交通事故とは別の交通事故により死亡してしまいました。
そのため、Aの両親であるX1、X2が、Y1、Y2社に対して損害賠償を請求する裁判を起こしたところ、交通事故の被害者がその後に第二の交通事故により死亡した場合に、最初の交通事故の後遺障害による財産上の損害の額の算定に当たり被害者の死亡を考慮することができるか、交通事故の被害者が交通事故後に死亡した場合に、後遺障害による財産上の損害の額の算定に当たり死亡後の生活費を控除することができるかが問題になりました。

これについて、裁判所は、交通事故の被害者がその後に第二の交通事故により死亡した場合、最初の事故の後遺障害による財産上の損害の額の算定に当たっては、交通事故の時点で、その死亡の原因となる具体的事由が存在し、近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り、死亡の事実は就労可能期間の算定上考慮すべきものではなく、それは、被害者の死亡が病気、事故、自殺、天災等のいかなる事由に基づくものか、死亡につき不法行為等に基づく責任を負担すべき第三者が存在するかどうか、交通事故と死亡との間に相当因果関係ないし条件関係が存在するかどうかといった事情によって異なるものではない旨判断し、また、交通事故の被害者が事故後に死亡した場合、後遺障害による財産上の損害の額の算定に当たっては、事故と被害者の死亡との間に相当因果関係がある場合に限り、死亡後の生活費を控除することができる旨判断しました。

(最高裁判所平成8年5月31日第二小法廷判決)

交通事故に関して、後遺障害による逸失利益の算定に当たり交通事故後の別の原因による被害者の死亡を考慮することの許否についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、交通事故については、仙台の弁護士による交通事故のご相談もご覧ください。