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【交通事故】【判例・裁判例】工事中の赤色灯が倒されていた場合の道路管理の瑕疵

 
Aは、Bの運転する自動車の助手席に同乗して県道を進行中、Y県がCに掘穿工事を請け負わせている地帯を通りました。その地帯では、工事個所を表示する標識として、Y県により工事現場の南北約2メートルの各地点にそれぞれ工事標識版と黒黄まだらのバリケードが1つずつ設置され、バリケード間の道路の中央線付近に赤色灯標柱が1つずつ設置されていましたが、事故直前に同所を通行した自動車によって工事現場の南側に設置されていた工事標識版、バリケード、赤色灯標柱は倒され、赤色灯は消えていました。
Bは、約30数メートル先に倒れているバリケード、赤色灯標柱を発見し、急拠ハンドルを右に切って衡突を免れましたが、ハンドルを復元することができず、車が道路からはみ出して転落するという交通事故を起こし、Aが死亡してしまいました。
そのため、Aの相続人であるXらが、事故は標識等がその機能を十分に果たしていない不完全なものであったために生じたとして、Y県に対して国家賠償保障法2条1項に基づいて損害賠償請求の裁判を起こしたところ、Y県に道路管理の瑕疵があったかが問題になりました。

これについて、裁判所は、県道上に道路管理者の設置した堀穿工事中であることを表示する工事標識板、バリケード及び赤色灯標柱が倒れ、赤色灯が消えたままになっていた場合であっても、それが夜間、他の通行車によって惹起されたものであり、その直後で道路管理者がこれを原状に復し道路の安全を保持することが不可能であったなどの事実関係のもとでは、道路の管理に瑕疵がなったというべきである旨判断しました。

(最高裁判所昭和50年6月26日第一小法廷判決)

交通事故に関して、工事中の赤色灯が倒されていた場合の道路管理の瑕疵についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、交通事故については、仙台の弁護士による交通事故のご相談もご覧ください。