【交通事故】【判例・裁判例】動物による事故2
Xは、昭和51年4月27日、原動機付自転車を運転して、時速約40キロメートルで走行中、前方約41メートルの道路中央付近で、Yの飼育するシェパード犬(体長約1メートル、体重約15キログラム)が道路端を歩行中のAに向って吠えているのを発見しました。その犬は、Yが散歩に連れて行こうとして、自宅の檻から出したところ、県道に飛び出したものでした。
Xは、犬と約16メートルの距離に接近したところで時速を約30キロメートル減速し、道路中央付近にいた犬のすぐ後方を通り抜けようとしたところ、犬が突然後方に向きを変え、Xの進路上に進出しようとしました。そのため、Xは危険を感じ、制動措置をとりましたが間にあわず、原動機付自転車の前輪が犬と接触し、Xが路上に転倒しました。その交通事故により、Xは左鎖骨及び左踵骨折等の傷害を負い、192日間の入院治療を余儀なくされました。
そのため、XがYに対し、損害賠償請求の裁判を起こしたところ、Yに犬の保管上の過失があるかが問題になりました。
これについて、裁判所は、飼主が散歩に連れて行こうとして檻から出した犬が公道に飛び出し、進行中の原動機付自転車に接触して転倒させ、運転者を負傷させるなどの事情があるときは、飼主に犬の保管上の過失がある旨判断しました。
(最高裁判所昭和56年11月5日第一小法廷判決)
交通事故に関して、動物による事故についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。
なお、交通事故については、仙台の弁護士による交通事故のご相談もご覧ください。