【交通事故】【判例・裁判例】パトカーの追跡行為の違法性
Y県の巡査3名は、パトカーで機動警ら中、A運転の速度違反を犯している自動車を発見したため、赤色灯を点灯し、サイレンを鳴らして追跡を開始しました。A運転自動車は逃走後停止しましたが、巡査らが歩み寄ったところ、突如Uターンして時速100キロで逃走を再開しました。そのため、パトカーは、再び赤色灯をつけ、サイレンを鳴らして、追跡を再開しました。
その後、A運転自動車は、逃走中に赤信号を無視して交差点に進入し、青信号に従い進行中のB運転車両に衝突し、B運転車両をX1運転、X2、X3同乗の自動車に激突させる交通事故を起こし、X1ら3名を負傷させました。
そのため、X1らがY県に対して国家賠償保障法1条1項の責任を追及して裁判を起こしたところ、パトカーによる追跡の違法性が問題になりました。
これについて、裁判所は、警察官のパトカーによる追跡を受けて車両で逃走する者が惹起した事故により第三者が損害を被った場合において、右追跡行為が国家賠償法1条1項の適用上違法であるというためには、追跡が現行犯逮捕、職務質問等の職務の目的を遂行するうえで不必要であるか、または逃走車両の走行の態様および道路交通情況等から予測される被害発生の具体的危険性の有無および内容に照らして追跡の開始・継続もしくは方法が不相当であることを要する旨判断しました。
(最高裁判所昭和61年2月27日第一小法廷判決)
交通事故に関して、パトカーの追跡行為の違法性についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。
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