【相続】【判例・裁判例】指定相続分を超える共有持分権を譲り受けた第三者が取得する持分の割合
甲の死亡に伴い、A、B、C、Yの4名の子が甲の遺産を共同相続しました。甲は遺言により各人の相続分を指定しており、これによればAの相続分は80分の13でしたが、遺言の解釈等に関し相続人間に争いがありました。そこで、相続人らは、甲の遺産である土地につき、法定相続分である各4分の1の割合による相続登記をした上、相続税の支払を担保するため大蔵省に対して抵当権を設定しましたが、持分割合による相続登記は抵当権設定目的に限定してされるものであることが相続人間で合意されていました。
ところが、Aは、指定相続分を上回る持分で相続登記がなされたことを利用して、相続登記に係る自己の持分4分の1をBが代表するX社に売却し、持分の移転登記をしてしまいました。その後、Yが相続税を滞納したため、前記抵当権に基づき土地が公売に付され、X社は土地の持分を失ってしまいました。
そのため、X社がYを相手に、民法372条、351条に基づき、公売処分により喪失した土地のX社の持分相当価格の求償を求めて裁判を起こしたところ、X社の持分が4分の1か80分の13かが問題になりました。
これについて、裁判所は、遺言により法定相続分を下回る相続分を指定された共同相続人の一人が、遺産を構成する特定不動産に法定相続分に応じた共同相続登記がされたことを利用し、右登記に係る自己の共有持分権を第三者に譲渡し、第三者が右持分の移転登記を受けたとしても、右第三者は右共同相続人の指定相続分に応じた持分を取得するにとどまる旨判断しました。
(最高裁判所平成5年7月19日第二小法廷判決)
相続に関して、指定相続分を超える共有持分権を譲り受けた第三者が取得する持分の割合についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。
なお、相続については、仙台の法律事務所による相続のご相談もご覧ください。