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【賃金・残業代・退職金】【判例・裁判例】部分スト不参加者の賃金と休業手当

 
Y社は、民間定期航空運輸事業等を営む法人であり、東京、大阪、沖縄に営業所を有しています。他方、Xらは、Y社沖縄営業所および大阪営業所に勤務する者で、Z組合の組合員です。
Z組合は、Y社とA社との間で締結された請負契約が職業安定法44条違反であるとして、請負契約の廃止とA社従業員13名の直接雇用化を求めて団体交渉を行うとともに、同法違反を理由に東京地方検察庁に対し告発をしました。
Y社はZ組合との団交の席上で、法的判断が示されるまで現状の勤務形態を維持する方針であると回答しましたが、その後、Y社は、所轄公共職業安定所長による改善の行政指導が行われる前に、改善案をY社営業所に掲示しました。Y社は、Z組合に対し、これにより職安法違反はなくなると説明しましたが、Z組合は当該改善案は職安法違反の事業を隠蔽し将来搭載部門を全面的に下請化する意図があるとして反対し、大阪地区および沖縄地区を除いて無期限のストに突入しました。
ストが長引いてきたため、Y社は、残った人員および機材によって確保できる飛行機の運航を限定し他の便を欠航するとともに、裁判所に妨害行為等禁止仮処分命令を求める申請を行いました。Y社が一部欠航を決めたことによって、沖縄営業所において、次いで大阪営業所において、寄航する飛行機がなくなったため、Y社は必要人員を除き、Xらを含む残りの従業員全員に休業を命じました。休業命令は、Y社・Z組合間で和解が成立し、Z組合がストを解除するまで続きました。
休業を命じられたXらには、休業期間中賃金が支払われなかったため、XらがY社に対して、未払賃金および予備的に休業手当の支払を求める裁判を起こしたところ、Xらの休業が労働基準法26条の「使用者の責めに帰すべき事由」にあたるかが問題になりました。

これについて、裁判所は、定期航空運輸事業を営む会社に職業安定法44条違反の疑いがあったことから、労働組合がその改善を要求して部分ストライキを行つた場合であっても、同社がストライキに先立ち、労働組合の要求を一部受け入れ、一応首肯しうる改善案を発表したのに対し、労働組合がもっぱら自らの判断によって当初からの要求の貫徹を目指してストライキを決行したなど判示の事情があるときは、右ストライキにより労働組合所属のストライキ不参加労働者の労働が社会観念上無価値となったため同社が右不参加労働者に対して命じた休業は、労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由」によるものということができない旨判断しました。

(最高裁判所昭和62年7月17日第二小法廷判決)

賃金・残業代・退職金の問題に関して、部分スト不参加者の賃金と休業手当についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、残業代については、仙台の法律事務所による残業代請求のご相談もご覧ください。