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【労災・過労死・過労自死】【判例・裁判例】労働基準法及び労災保険法上の労働者

 
自己の所有するトラックをA社の工場に持ち込む形態の運転手(車持込み運転手)として、A社の製品を運送する業務に従事していたXは、A社の工場の倉庫内で運送品をトラックに積み込む作業中に足を滑らせて転倒し負傷しました。
なお、XのA社における業務および報酬等の状況は以下のようなものでした。
①Xの運送業務はすべてA社の運送計画に組み込まれ、A社の運送係からの指示を受けており、事実上、この指示を拒否する自由はありませんでした。
②A社のXに対する指示は原則として運送物品、運送先および納入時刻に限られ、運転経路、出発時刻、運転方法等には及びませんでした
③毎日の始終業時刻は、A社の運送係から指示される運送先に納入すべき時刻や運送先までの距離等によって決まり、実際上の時間的拘束はあったものの、一般の従業員のような厳格な拘束はありませんでした。
④運送業務を他人に代替させることは、明文では禁止されていなかったものの、現実には行われていませんでした。
⑤報酬はトラックの積載可能量と運送距離によって定まる運賃表によって出来高が支払われていました。
⑥トラックの購入代金、ガソリン代、修理費、運送の際の高速道路料金等はすべてXが負担していました。
⑦Xへの報酬の支払にあたっては所得税の源泉徴収および社会保険・雇用保険の保険料控除は行われておらず、Xは報酬を事業所得として確定申告をしていました。
Xは、上記事故による療養と休業について、労働者災害補償保険法所定の療養補償給付および休業補償給付の支給をY労基署長に請求したところ、Yは、Xが労働者災害補償保険法上の労働者にあたらないことを理由に不支給処分としました。そのため、Xは当該不支給処分の取消しを求めて裁判を起こしたところ、車の持込み運転手が労働基準法及び労働者災害補償保険法上の労働者に当たるかが問題になりました。

これについて、裁判所は、自己の所有するトラックを持ち込んで特定の会社の製品の運送業務に従事していた運転手が、自己の危険と計算の下に右業務に従事していた上、右会社は、運送という業務の性質上当然に必要とされる運送物品、運送先及び納入時刻の指示をしていた以外には、右運転手の業務の遂行に関し特段の指揮監督を行っておらず、時間的、場所的な拘束の程度も、一般の従業員と比較してはるかに緩やかであったなどの事実関係の下においては、右運転手が、専属的に右会社の製品の運送業務に携わっており、同社の運送係の指示を拒否することはできず、毎日の始業時刻及び終業時刻は、右運送係の指示内容のいかんによって事実上決定され、その報酬は、トラック協会が定める運賃表による運送料よりも1割5分低い額とされていたなどの事情を考慮しても、右運転手は、労働基準法及び労働者災害補償保険法上の労働者に当たらない旨判断しました。

(最高裁判所平成8年11月28日第一小法廷判決)

労災・過労死・過労自死に関して、労働基準法及び労災保険法上の労働者についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、労災・過労死・過労自死については、仙台の弁護士による労災・過労死・過労自死のご相談もご覧ください。