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【労働問題】【判例・裁判例】書面性を欠く労使合意と労働協約

 
Xらは、Yの経営する自動車教習所に勤務する従業員であり、A組合、B組合C支部の組合員でした。なお、Yには、C支部のほか、D組合がありました。
Yは、昭和53年6月以降、ベースアップについてC支部との間で労使交渉を行い、その結果締結された労働協約に基づいて従業員に賃金を支給していました。
平成3年度もベースアップについてYとC支部との間で労使交渉が行われ、YはC支部に対し、新賃金体系を前提として、5000円を加算してベースアップを実施する旨回答する協定書案を提示しました。平成3年10月頃、C支部は、賃金引上げ額には同意したものの、新賃金体系に同意したものではない旨を記載した覚書を付して協定書を取り交わすことを申し入れましたが、Yは、覚書の添付を拒否しました。C支部は、覚書を付けずに協定書の作成に応じれば、事実上、新賃金体系を承認する意味を持つと受け止め、そのような協定書の作成には応じませんでした。他方、D組合はこれに同意し、協定は書面化されました。
Yは、労働協約が書面に作成されていないことを理由として、C支部の組合員にはベースアップ分を支給せず、D組合の組合員および非組合員に対しては、同年4月に遡ってベースアップ分を支給しました。その後、平成7年度まで同様のことが続きました。
そのため、Xらが、Yに対し、ベースアップが合意されているにもかかわらず、その分が支給されなかったとして、Yに対し、未払賃金等を請求する裁判を起こしたところ、労働組合と使用者との間の労働条件その他に関する合意で書面の作成がなく又は作成した書面に両当事者の署名及び記名押印がないものの労働協約としての規範的効力の有無が問題になりました。

これについて、裁判所は、 労働組合と使用者との間の労働条件その他に関する合意は、書面に作成され、かつ、両当事者がこれに署名し又は記名押印しない限り、労働協約としての規範的効力を生じない旨判断しました。

(最高裁判所平成13年3月13日第三小法廷判決)

労働問題に関して、書面性を欠く労使合意と労働協約についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、労働問題については、仙台の法律事務所による労働問題のご相談もご覧ください。