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【労働問題】【判例・裁判例】採用内定取消が無効と判断された事例

 
Y社は、A大学を通じて、卒業予定者に対する求人募集を行いました。Xは、A大学の推薦を得て、この求人募集に応じ、入社試験を受けて、Y社から採用内定通知を受けました。そして、Xは、Y社からの求めに応じて、大学卒業のうえは間違いなく入社する旨及び一定の取消事由があるときは採用内定を取り消されても異存がない旨を記載した誓約書を提出しました。
その後、Xは、Y社から会社の近況報告その他のパンフレットの送付を受けたり、Y社からの指示により近況報告書を送付したりしました。なお、Y社においては、採用内定通知のほかには労働契約締結のための特段の意思表示をすることは予定していませんでした。
ところが、Y社は、Xに対し、採用内定を取り消す旨通知しました(その理由は、Xのグルーミーな(陰気な)印象を打ち消す材料が出てこなかったことが主なものでした)。
Xは、大学を通じてY社と交渉しましたが、何らの成果も得られませんでした。そのため、Y社に対して、採用内定通知により労働契約が成立し、かつ、内定取消は無効であるとして、従業員としての地位確認等を求める裁判を起こしたところ、①採用内定の法的性質、②採用内定取消が許されるかが問題になりました。

これについて、裁判所は、
①本件の事実関係のもとにおいては、企業の求人募集に対する大学卒業予定者の応募は労働契約の申込であり、これに対する企業の採用内定通知は申込に対する承諾であって、誓約書の提出とあいまって、これにより、大学卒業予定者と企業との間に、就労の始期を大学卒業の直後とし、それまでの間誓約書記載の採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したものと認めるのが相当である、
②企業の留保解約権に基づく大学卒業予定者の採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また、知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるものに限られ、グルーミーな印象であるため従業員として不適格であると思いながら、これを打ち消す材料が出るかも知れないとしてその採用を内定し、その後になって、右不適格性を打ち消す材料が出なかったとして留保解約権に基づき採用内定を取り消すことは、解約権留保の趣旨、目的に照らして社会通念上相当として是認することができず、解約権の濫用にあたるものとして無効である
旨判断しました。

(最高裁判所昭和54年7月20日第二小法廷判決)

労働問題に関して、採用内定取消が無効と判断された事例についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、労働問題については、仙台の法律事務所による労働問題のご相談もご覧ください。