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【労働問題】【判例・裁判例】妊娠中の軽易業務への転換としての異動を契機とする降格の有効性

 
Xは、平成6年3月21日、医療介護事業等を行う消費生活協同組合Yとの間で、理学療法士として理学療法の業務に従事することを内容とする期間の定めのない労働契約を締結し、A病院の理学療法科(後にリハビリテーション科に名称が変更)に配属されました。Xは、患者の自宅を訪問してリハビリテーション業務を行う訪問リハビリチームや病院内においてリハビリテーション業務を行う病院リハビリチーム等での勤務を経て、リハビリ課の副主任になりました。そして、平成19年7月1日、Yは、リハビリ科の業務のうち訪問リハビリ業務をYの運営する訪問介護施設であるBに移管したため、Xは、リハビリ科の副主任からBの副主任となりました。
Xは、平成20年2月、妊娠し、労働基準法65条3項に基づいて軽易な業務への転換を請求し、転換後の業務として、訪問リハビリ業務よりも身体的負担が小さいとされていた病院リハビリ業務を希望しました。これを受けて、Yは、Xに対し、同年3月1日付けでリハビリ科に異動させるとともに副主任を免ずる旨の辞令を発しました。そして、Xは、平成20年9月1日から同年12月7日まで産前産後の休業をし、同月8日から同21年10月11日まで育児休業をしました。
Yは、平成21年10月12日、育児休業を終えて職場復帰したXをリハビリ科からBに異動させました。その当時、Bにおいては、別の職員が副主任に任ぜられていたことから、Xは、再び副主任に任ぜられることなく、これ以後、同職員の下で勤務することとなりました。
Xは、育児休業を終えて職場復帰した後も副主任に任ぜられないことをYから知らされてから、これを不服として強く抗議しましたが、Xの要望が認められませんでした。
そのため、XがYに対して、管理職(副主任)手当の支払と損害賠償を求めて裁判を起こしたところ、妊娠中の軽易業務への転換としての異動を契機とする管理職である副主任から非管理職である職員への降格が「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」9条3項が禁止する妊娠、出産を理由とする不利益な取り扱いにあたるかが問題になりました。

これについて、裁判所は、女性労働者につき労働基準法65条3項に基づく妊娠中の軽易な業務への転換を契機として降格させる事業主の措置は、原則として「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」9条3項の禁止する取扱いに当たるが、当該労働者につき自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき、又は事業主において当該労働者につき降格の措置を執ることなく軽易な業務への転換をさせることに円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障がある場合であって、上記措置につき同項の趣旨及び目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情が存在するときは、同項の禁止する取扱いに当たらない旨判断しました。

(最高裁判所平成26年10月23日第一小法廷判決)

労働問題に関して、妊娠中の軽易業務への転換としての異動を契機とする降格の有効性についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、労働問題については、仙台の弁護士による労働問題のご相談もご覧ください。