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【パワハラ・セクハラ】【判例・裁判例】千枚通しで労働者の着用する制服の襟に穴を開け襟章を着けた行為が違法と判断されたパワハラ事例

 
Xは、国鉄職員として九州の電気技術センターで電気技術係の職務に従事していました。
同技術センターでは、上衣省略期間の開けた昭和60年10月1日から、始業時の点呼の際等に、管理者が職員に対して、上衣に襟章を着用するよう指導を始めましたが、誰も指示に従いませんでした。
同月25日午前8時50分、Y1、Y2等の管理職立会の下に、同技術センターの助役らによって職員の点呼が開始され、指定場所への整列、起立が指示されましたたが誰もこれに応ぜず、呼名に対して返事をする者もいませんでした。続いて作業指示が行われ、助役の1人が職員に対し、配布してある襟章を着用するように指示をしましたが、誰も襟章を着用しようとしませんでした。Y1、Y2らは、点呼につづいて行われた戸外での体操終了後の午前9時30分ころにも職員らに対して個別的に襟章着用の指導をしましたが、1人を除く全員がこれを無視して当日の作業に向うべく順次事務室を出て行きました。
その後、事務室に入ってきたXが所用のため自席に着いたところ、助役の1人が襟章を着けるように言い、黙っているXの傍に、Y2が近付いて、Xの左側からXが着用していた冬用制服(技術服)の上衣の左襟を引っ張り千枚通しで穴を開け、助役と共にこれに襟章一箇を着け、次にY1がXの右側からXの右襟を引っ張り、まずボールペンで、次いでY2から手渡された千枚通しで右襟に穴を開けようと試みたましが、Xが「作業に行くから止めてくれ」と言ったので、行為を中止しました。
このような状況下で、Xが、Y1、Y2に対し、損害賠償を求める裁判を起こしたところ、Y1、Y2の行為の違法性が問題になりました。

これについて、裁判所は、Xには襟章着用の義務があり、管理者がXに対して相当な方法によって襟章の着用を指導することは何ら違法ではないが、管理者が襟章着用の指示に従わない職員に対し、服務規律違反として対処するは格別、本人の意思に反して、実力をもって襟章の着用を強行することは許容されず、Y1、Y2の行為はXの意思に反する実力行使というべきであって相当な方法による指導の範囲を逸脱した違法なものである旨判断しました。

(最高裁判所平成3年11月19日第三小法廷判決)

パワハラ・セクハラに関して、千枚通しで労働者の着用する制服の襟に穴を開け襟章を着けた行為が違法と判断されたパワハラ事例についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、パワハラ・セクハラについては、仙台の弁護士によるパワハラ・セクハラのご相談もご覧ください。