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【遺言】【判例・裁判例】相続させる趣旨の遺言がある場合の遺言執行者の職務権限

 
Aは、土地1~5を所有して死亡しましたが、Aの相続人には、実子Y1、Bら、養子Y2、孫Zらがいました。
Aは、生前、公正証書により全財産をY1に相続させる旨の遺言(旧遺言)を作成していましたが、その後、公正証書により旧遺言を撤回し、新たに遺言(新遺言)を作成しました。新遺言は、(1)土地1をBらに相続させる、(2)土地2~5をY1、Y2に各2分の1ずつ相続させる、(3)その他の財産を相続人全員に相続させる、(4)Xを遺言執行者に指定するというものでした。
しかし、Y1は、旧遺言の遺言書を利用して土地1~5について、相続を原因として自己名義に所有権移転登記をし、その後、土地3~5について、真正な登記名義の回復を原因として、Y2に所有権一部移転登記を行いました。
Xは、新遺言の遺言執行者として、Y1に対し、真正な登記名義の回復を原因として、土地1についてBらへの持分移転登記手続を、土地2についてY2への持分移転登記手続を求めて裁判を起こしました。また、Zらは、遺留分減殺の意思表示をした上、上記訴訟に独立当事者参加し、Xに対しては共有持分権の確認を、Y1に対しては共有持分権の確認と持分移転登記手続を求めました。
さらに、Zらは、それとは別に、Y2に対して、土地3~5について共有持分権の確認と持分移転登記手続を求める裁判を起こしました。
上記2つの裁判は併合され、その中で、特定の不動産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言がされた場合において、他の相続人が相続開始後に当該不動産につき被相続人からの所有権移転登記を経由しているときの遺言執行者の職務権限が問題になりました。

これについて、裁判所は、特定の不動産を特定の相続人甲に相続させる趣旨の遺言がされた場合において、登記実務上、相続させる趣旨の遺言については甲が単独で登記申請をすることができるとされているから、当該不動産が被相続人名義である限りは、遺言執行者の職務は顕在化せず、遺言執行者は登記手続をすべき権利も義務も有しないが、甲への所有権移転登記がされる前に、他の相続人が当該不動産につき自己名義の所有権移転登記を経由したため、遺言の実現が妨害される状態が出現したような場合には、遺言執行者は、遺言執行の一環として、右の妨害を排除するため、右所有権移転登記の抹消登記手続を求めることができ、さらには、甲への真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を求めることもできると解するのが相当である旨判断しました。

(最高裁判所平成11年12月16日第一小法廷判決)

遺言に関して、相続させる趣旨の遺言がある場合の遺言執行者の職務権限についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、遺言については、仙台の法律事務所による遺言のご相談もご覧ください。