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【相続放棄】【判例・裁判例】相続放棄の熟慮期間の起算点2

 
Aは平成18年6月に死亡したところ、Aの相続人には妻B、子X、Cがいました。
Xは、昭和52年に結婚するまでA、B及びCと同居して生活していましたが、その後Aらと別居して生活するようになり、Aと会うのは盆や正月等年に数度にすぎませんでした。
CとXの間にでは、CがAのいわゆる跡取りの立場にあり、CがAの遺産を引き継ぎ、Xはこれを取得しないとの点において認識を共通にしており、相続に際しては、XがCに一切をゆだね、手続上必要があればその指示に従い、協力する旨了解し合っていました。
Cは、Aの死後間もない平成18年6月中に、Aの相続人らを代表して、Aが生前出資し、貯金し、建物更生共済に加入するなどして取引していたD農協を訪れ、AのD農協に対する債務の存否を尋ね、債務はない旨の回答を得ました。そこで、Cは、Bとともに、D農協におけるA名義の普通貯金口座の解約及び出資証券の払戻しの手続をするとともに、D農協を共済者とする建物更生共済契約の名義人をAからBに変更する手続をしました。この手続に際し、XはCから連絡を受け、その求めに応じて、書類に押印する等必要な協力をしました。
ところで、Aは、平成3年ないし平成8年ころ、D農協を貸主とする3口の消費貸借契約(元金合計3億円)につき連帯保証人(うち1億円については連帯債務者)となっていました。このうちAが連帯債務者となっている1億円の貸付けについては連帯保証人兼担保提供者による担保不動産の任意売却交渉が進行していたことから、D農協は債務者らに対する返済の請求を控えていましたが、任意売却が不可能な状況に至ったため、担保不動産の競売により貸付金の回収を図ることとし、平成19年9月ころ、その旨をB、X、Cに通知しました。
Xらは、D農協による上記通知によりAの債務を初めて知りました。そのため、Xは、平成19年11月、家庭裁判所に対し相続放棄の申述受理の申立てをしたところ、民法915条1項本文所定の期間の起算点が問題になりました。

これについて、裁判所は、相続債務について調査を尽くしたにもかかわらず、債権者からの誤った回答により、債務が存在しないものと信じて限定承認又は放棄をすることなく熟慮期間が経過するなどした場合には、相続人において、遺産の構成につき錯誤に陥っているから、その錯誤が遺産内容の重要な部分に関するものであるときは、錯誤に陥っていることを認識した後改めて民法915条1項所定の期間内に、錯誤を理由として単純承認の効果を否定して限定承認又は放棄の申述受理の申立てをすることができる旨判断しました。

(高松高等裁判所平成20年3月5日決定)

相続放棄に関して、相続放棄の熟慮期間の起算点についての高松高等裁判所の裁判例を紹介させていただきました。

なお、相続放棄については、仙台の法律事務所による相続放棄のご相談もご覧ください。