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【相続放棄】【判例・裁判例】民法921条3号にいう相続財産と相続債務

 
Xは、昭和49年7月ころ、Aとの間で、A所有土地を360万円で買い受ける契約をし、代金を支払いしました。そして、Aが司法書士であったことから、XはAに所有権移転登記手続を依頼しましたが、Aは手続をしないまま昭和52年1月25日に土地をBに売却し、同年9月16日に死亡しました。
Aの相続人であるY1~Y3は、同年12月16日に家庭裁判所に限定承認の申述をしましたが、甲のXに対する債務を財産目録に記載しませんでした。同申述は、昭和53年1月26日に受理され、同月30日にY1が相続財産管理人に選任されました。
他方、Bが昭和53年5月2日に当該土地をCに売り渡したので、Y1らは共同相続登記をしたうえ、AのBに対する売買の履行として、Cに対し中間省略により直接所有権移転登記を行いました。
そのため、Xは、Y1らが登記名義を移転したのは買主としてのXの権利を侵害する不法行為である等を理由として、Y1らに対して損害賠償を求める裁判を起こしました。その裁判の中で、限定承認をしたY1らが相続財産の一部を財産目録に記載しなかったことから、単純承認をしたとみなされるのかが問題になりました。

これに対して、裁判所は、民法921条3号にいう「相続財産」には、消極財産(相続債務)も含まれ、限定承認をした相続人が消極財産を悪意で財産目録中に記載しなかつたときにも、同号により単純承認したものとみなされると解するのが相当である旨判断しました。

(最高裁判所昭和61年3月20日第1小法廷判決)

相続放棄に関して、民法921条3号にいう相続財産と相続債務についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、相続放棄については、仙台の弁護士による相続放棄のご相談もご覧ください。