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【交通事故】【判例・裁判例】交通事故と自殺の間の相当因果関係の有無

 
Aは、自動車を運転中、前方不注視のためセンターラインを越えて進入してきたY1運転(Y2所有)の自動車に衝突されるという交通事故に遭い、頭部打撲・左膝蓋骨骨折・頚部捻挫等の傷害を負いました。Aは、入通院して治療を受けた結果、身体の運動機能は順調に回復しましたが、頭痛・項部痛・眼精疲労等の後遺症が残りました。
Aは、本件事故の態様がY1の一方的過失によるものであって大きな精神的衝撃を与えるものであったこと、補償交渉が納得のいく進展をみなかったこと、意思に反する就労の勧めがされたことなどに起因して、昭和61年3月ころには災害神経症状態となり、さらに、勤務先に復職願を提出したが受け入れられず、従前の就業状態に復することのないまま退職することを余儀なくされ、再就職も思うに任せなかったことなどの要因が重なってうつ病になり、自殺してしまいました。
そのため、Aの妻子であるX1、X2がY1、Y2に対して損害賠償請求の裁判を起こしたところ、交通事故とAの自殺の間の相当因果関係の有無が問題になりました。

これについて、裁判所は、本件事故によりAが被った傷害は、身体に重大な器質的傷害を伴う後遺症を残すようなものでなかったとはいうものの、本件事故の態様がAに大きな精神的衝撃を与え、しかもその衝撃か長い年月にわたって残るようなものであったこと、その後の補償交渉が円滑に進行しなかったことなどが原因となって、Aが災害神経症状態に陥り、更にその状態から抜け出せないままうつ病になり、その改善をみないまま自殺に至ったこと、自らに責任のない事故で傷害を受けた場合には災害神経症状態を経てうつ病に発展しやすく、うつ病にり患した者の自殺率は全人口の自殺率と比較してはるかに高いなどの事実関係を総合すると、本件事故とAの自殺との間に相当因果関係があるとした上、自殺にはAの心因的要因も寄与しているとして相応の減額をして死亡による損害額を定めた原審の判断は、正当として是認することができる旨判断しました。

(最高裁判所平成5年9月9日第一小法廷判決)

交通事故に関して、交通事故と自殺の間の相当因果関係の有無についての最高裁判所の判例を紹介させていただきました。

なお、交通事故については、仙台の弁護士による交通事故のご相談もご覧ください。